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旗幟鮮明 →sideS

思いもよらない言葉と抱き締められた富田君の身体の熱さに、俺は鳩がマシンガンくらったかのように、目を見開くしかなかった。 豆じゃ威力不足すぎるので、マシンガンていうほうが俺の心境にあってる気がする。 思わず落としそうになったタバコを、あぶないから灰皿にぐりぐりと押し付けてベッドヘッドへと置く。 まて、ちょっと、冷静になろう。俺。 流されたら、ダメだ。目先のキモチいいとか、そういうのに騙されたらダメだ。 カラダってのは、大体頭と直結してくる。セックスってのは、人のキモチを左右するのに強力なもんがある。 セックスの最中に、名前なんか呼んじゃった時には、やっぱりキモチをもってかれるし、多分それもあるし、辛いし苦しいからやめなきゃならない。 このままじゃ不毛だと思って、終わりにしようと告げたのに。 くろろほるむ、だか、すとっくほるむだか、この状況はそういうヤツだから、きっと本当のキモチじゃない。 そう考えて考えて、漸く終わろうと言えたのに、今更そんなこと言われても、困るだろ。 富田君も、俺と同じように勘違いだろう。そうに違いないんだから。冷静になろう。 「…………バカいってんなよ…………。セックスしてるから、オマエはかんちがいしてるだけだぞ」 まだ、声も震えて掠れている。 どこかで、富田君の勘違いじゃなきゃいいなとか、楽観的に考えたいけど、考えるのに疲れすぎちまってて、簡単にうけいれるわけにはいかない。 結構喘いだし、……ノドもカラカラだし。あたまもぼんやりだから、ちゃんと深呼吸しないと。 「勘違いじゃないし、そういうのとは……ちげえ……よ、とか、今更何言ったところで、アンタには信用されるわけねーけど」 俺の身体に回った富田君の腕が、怯えるように小刻みに震えている。 そんなに、俺とのセックスやめたくねーのかな。 「イライラして勢いで脅迫なんざしちまったけど……、俺はずっとアンタに憧れてて…………。脅迫だってするつもりじゃなかった……なんていっても、信じられねえよ、な」 なんだか複雑そうな口調で、必死に俺の耳元で訴える。 富田君が必死なのはわかる。 ま、脅迫も勢いっぽかったのはわかるけど。 「だったらさ、一体、どうしてーの?勘違いじゃなかったらさあ。…………俺は、コレ以上続けるつもりなら…………オマエに、一生責任とらせるぞ」 確かに他の女とセックスするよりか満足するけど、癖になるから困る。 一生とか、そんなもん背負わすわけにはいかねーし。 でも、続けたら多分ホントに戻れねーし。 ぐっと頭を両手で包まれ、顔を富田君側に固定させられ真っ直ぐな目つきにかちあう。 「わかった。責任とる。一生責任とるから、オレとつきあってくれ」 唇が震えていて、表情から緊張感が伝わってくる。 これって、あれだ。 まるでプロポーズだろ。 うわ、いきなり、なんだ。なんだ。 まー、でも、一生キモチいいならいいような気もする。とか考えてる時点で、俺も大概なんだよな。 一生懸命な表情に、なんだか俺の方もたまらなくなってくる。 「…………ったく、脅迫者から恋人にジョブチェンジしたいのかよ?」 じっと見返すと死刑を待つ囚人のような顔で、俺の答えを待つ富田君の様子になんだか胸をつかれる。 「あ……ああ。……ムシがいいのは分かってんだ、ケド…………」 言い募ろうとする富田君の腕を握って、顔から外させると、俺はゆっくりその唇を吸いあげて、舌先で辿るように舐めてから離す。 「しょーがねーな。マカベ神殿がオマエを恋人にジョブチェンジさせてやる」 情が移っちまってるのは、俺も一緒だ。 だったら、キモチがいいほうを選んだもの勝ちじゃねえかな。 「…………士龍、好きだ、好きだ、好きだ」 堰をきったように、好きだを連呼してギュウギュウ抱きしめてくる富田君は憎めないし、その前に俺も好きになってたし。 なんだか、今更言うのもなんだかタイミング外したしなあ。 まあ、好きだって言われるのは気持ちがいい。 頭を胸にくっつけて、ぽろぽろ泣き出す富田君の真っ赤な頭を撫で回して、もう一度唇をくっつけた。 それだけで、胸の鼓動が早まって俺はこいつにドキドキしているんだなと、感じた。

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