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満願成就→sideS

「ゆかは痛ェ……」 まあ誘ったのは俺だけど、実際余裕なさすぎだろ。ベッドなんか徒歩1秒の至近距離だってのに。 ばきばきして痛む体を、虎王はいつもの様に濡れたタオルをもってきて丁寧に拭ってくれている。 やっぱりマメだし丁寧だし、本当に優しいやつだ。だから惹かれたわけだけど、まだ、そんなことは悔しいから言ってやらないことにする。 それに、なんだかさあ、こそばゆい感じだしなあ。 「…………体以外も好きになってくれねーかな。オレは尽くす男だぞ」 「まだ、あんまり知らないだけだから、好きにならないわけじゃねーし」 実際好きになってるわけだし、愛されてるのは気持ちいいから、当分いわないでおく。 優しいやつだし、悪いやつじゃねーし、だけど脅迫されたけどな。 罪を憎んで人を憎まずって、じーちゃんも言ってたからな。 「どうしたら、オレのこともっと知ってもらえんだろうな」 真剣な顔をして悩む虎王は、ホントに心底すげえ可愛いなあと思う。 もう、十分好きになってることはつたえてやりたいが、こんなふうに悩む姿がかわいいから当分黙っておこう。 人が自分のことで必死になるのはなんだか申し訳ないが、とても嬉しくなる。 「デートとか?」 「デートか…………こないだ、レストランいったの、デートのつもり、だったんだけどな」 ちょっと言いにくそうに、虎王は答える。 「あ、そうだったんだ。俺はデートは別にどこでもいーけどさ」 「…………絵面が、むさくるしいよな。…………どこでもいいとかあ。なんか希望ないのか」 どこにデートすることを考えているのかわからないが、顔が一瞬くもる。 「焼肉食い放題とか、スイーツ食い放題とか」 「ちょっ、食い放題ばっかかよ!!」 全身を綺麗に拭いてもらったので、体を起こして立ち上がるとごろんとベッドに横になる。 流石に俺も、かなりお疲れです。 文字通り精根尽きた。精子と男根って意味だよな。多分。 ホントにそれがつきまくっている状態だよ。 「えー、酒池肉林がイイ」 「元も子もねーこと言うな」 むっとした表情をしながら、自然に俺の横に転がってくる虎王をグイッと抱き寄せる。 「まあ、オマエのことは。これから知るから問題ねーよ」 さっきもキモチがよすぎて、意識がはんぶん飛んでいたけど、ホントにぶっ飛ぶくらい最高に感じていた。 「知るだけで、アンタがオレを好きなるかなんて、わからないだろ」 俺のパサパサの髪をわしゃわしゃと撫でて不安そうな表情で触れる仕草は、優しい。 すっかり好きすぎて、俺は胸が苦しかったんだけどね。 「…………坊主憎けりゃ、けさまで憎いっていうじゃん」 「それ、悪いたとえだろ、確か」 「大丈夫。だからね、一つ好きなら、全部好きになるのは、一瞬だよ」 不安そうな虎王に、俺は小さく笑って額に指をあてて、皺をたどる。 また怖い顔になってるなとか、思う。 「なるだけ、シロウと一緒にいてーんだけどな。学校じゃ無理だよな」 「なんで?同じ学校だぞ」 何故かまったくわからず、不思議に思って首を傾げる。 「アンタとオレは敵対勢力なのに、一緒にいんのはおかしいだろ」 「俺は敵対してねーし。たけおが敵対してるだけなんだし、敵対やめればいいだけだろ」 別に争いもしてないので、勝手に敵対勢力にしているのは虎王なのだ。 虎王のとこの子たちは、元々俺のどこにいた子たちなので、まったく俺には敵意はない。 「急に敵対やめるとか、関係聞かれたらどーすんだよ」 「付きあってるっていやーいいだろ?」 なんかめんどくさい。 隠したりするのは、疲れるしめんどうで、きっとイイことはない。 「嫌じゃねーのか?オレとのことバレんの」 「嫌じゃないし、誰も俺に文句は言わねーよ。虎王には文句いくかもだけど、そんなのに負けないだろ?」 うちの子たちは、逆に離反した虎王のことはあまりよくは思ってないだろからな。 俺には、文句はこねーだろうけど。 「わかった、負けねーよ」 隠すとか、騙すとかは良くないとじいちゃんも言ってたしな。 一緒にいれんなら、なるだけいたいかと思う。 それが恋ってやつだろ。

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