62 / 101
僅花一朝→sideS
昨日は学校に原付を置いてきちまったので、虎王のバイクで悠々登校したので、早速とばかりに昼休みに溜まり場の教室にいくと、直哉たちに怒りの形相で詰め寄られた。
2年の奴らは特に同級ってこともあり、出ていった虎王たちに対する反感は強い。
隠しても仕方がないというのは、最初から決めてたことだ。
だから、素直に虎王とお付き合いすることを話した。
「何、言ってンすか?!士龍サン、ぜってえ騙されてマスッて」
予想はしていたんだが、直哉は俺の肩を揺すって、更に今までにないくらいの鬼の形相になっている。
虎王と付き合うとカミングアウトした途端だ、有無を言わせずである。
…………よっぽどアイツ嫌われてんだな。
直哉も他の奴らも俺が付きあうのが、虎王だから反対してるだけで、なんか男だっていうのはまったく気にしてないようだ。
「騙されてても、俺のが強えーしし」
「油断させられて、寝首かかれたらどうすんですか」
セックスしてる最中にヤられたら、確かに潰されっけど、最初からその気ならもうやってるだろうし。
あんな真剣な顔されて、今さら騙されるとかは決してない。
「へーきだって」
「また、一体何につられたんです、士龍サン。食い物食い放題とか言われて、逆に食われ放題されちまったらどーすんですか」
まー、すでに食われ放題されまくりなんだけどな。
他の奴らも臨戦モードのようだが、多分こいつらじゃ虎王には勝てない。
「…………そんな食い意地張ってねーよ」
流石のやりとりに辟易して、なんだか面倒くさくなってくる。
とりあえず、片手にしているメロンパンを口に含む。
「じゃあなんなんです、何がヨカッタんです。士龍サン、女の子にモテるじゃないですか?ワザワザあんなむさい男を相手にしなくても」
食い下がるナオヤに、俺はもぐもぐ食べながら首を傾げる。
女の子より、ヨカッタからなんだけどな。
「んーーちんこかな」
俺の言葉に、ナオヤは口をあんぐりとあける。
「!!!もー、すでに食われてんじゃないですか!!」
「だってキモチイイんだもんー」
ナオヤは呆れた顔で俺を見やり、ふうっと大きく息を吐いた。
「アンタの羞恥心は、どっかにおさんぽ中ですか、士龍サン」
「かもなー。いいじゃねーか、俺が気にいってんだからさ」
もぐもぐとメロンパンを食べて終えて言い返すと、周りの奴らは心配そうに俺を見ている。
「俺らは士龍サンに、恩も義理もあるから、変な奴にだまされたり、傷つけられたりしたくねーんす。たとえ誰と付き合おうと、士龍さんから離れはしねーすけど…………。そんで、富田のトコの奴らに見下されたりするのは許せねーんすよ」
「お前らが傷つけられたら、俺ァ、虎王のトコの奴でも潰しにいく、それは変わらねえぞ」
下に見るとか、そんなのはどーでもいいけどな。
「俺達じゃ、アンタを説得できねえし。栗原さん呼びます」
皆が俺を慕ってくれてんのはわかるから、守りてーって思う。
全力で。
それじゃダメなのか?
「別に、ミッチーに言われてもかわんねえよ」
「わかってっすけど、士龍さんを傷つけたりする奴は許せねーんすよ」
直哉は真剣な表情で、俺の前の机をバンッと叩いた。
心から心配してくれるこいつらのことは、有難いとは思う。
しばらくして、ガラガラと引き戸が空いて道郎と将兵が入ってくる。
こいつら出てくると、ちょっと厄介だよな。
「士龍、ホンキ?」
将兵は開口1番、そこを聞いてくる。
「ン、ホンキ」
「こないだのさ、嫌われてるって悩んでたセフレの小悪魔ちゃんは?」
「…………つか、それが虎王だった」
「あー。なるほどなあ…………」
あの時は、そこまで言えなかったけども。
将兵は苦笑を浮かべて、俺の背中を叩いた。
「そんなら、仕方ねえな…………あのガキ、士龍に傷つけたらぶち殺すケドな」
将兵は深くため息をつきながら、ばむばむと俺の頭を叩く。
「ぜってえ……傷つけない、命にかけて大事にするから、一緒にいさせてくれ」
突如空き教室の扉が開いて、低くとおる声が響き、赤い派手な髪が現れた。
ともだちにシェアしよう!

