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塞翁之馬→sideS
虎王にぐっと強く抱き寄せられて、やっと取り戻せたことを実感する。
さっきからずっと複雑そうな顔をしていた虎王の顔が一気に和らいだ。
別れるって言ったままだったのを、すっかり忘れてた。
それどころじゃなかったのもあるが、なるだけ考えないようにしていたのもある。
忘れてたと言えば、
「とーちゃんに電話しとかないとな…………心配はしていたから…………」
これで虎王はオレのものだって宣言したいし、虎王のかーちゃんも安心させないといけねーし。
「…………あの人は……心配なんかしてねえだろ」
「大事なものは間違えてはいるけど、心配はしていたよ」
少し眉を寄せた虎王に、確かにオレも虎王が欲しかったから、助けなかったとか言ってしまったなと、少し反省する。
いい言い方がわからなかったしな。
どうして、もう一度と思った理由とかは、嘘を混ぜるのはできなかった。
俺は手にしたスマホをいじり、アドレス帳から父親の名をタップした。
あまり会わないし、いつもは何度もコールするのに、さすがやにすぐに出た。
『士龍、…………どうなった!?』
少しだけ焦っている声に心配していることはすぐにわかる。
「もしもし……たけおは、助け出した。だから、大丈夫」
『本当に、か』
「ああ…………だから、たけおは、俺にくれ」
しばし押黙ったあと、父親は唸るように、好きにしろと返してきた。
「たけおは無傷だけど、俺ケガしてるから、後で病院にいくよ。銃創だから、他の病院には行けない」
『?!どんな具合だ』
「心配してくれるの?ありがと。足を撃たれたけど、貫通したから大丈夫。」
『お前も私の息子だ、当たり前だろう。…………神経に問題あると大変だ、早めに病院にくるんだ』
「わかった。たけおに代わるから……」
嫌がる虎王に携帯を押し付けて、俺は日高が出してくれたココアを飲む。
暖かいし甘いしミルクの味もして美味しい。
虎王はスマホを片手にイヤそうな顔でなんだか返事をしている。
「シロはさ、この赤毛のドコがいーの?あんまり可愛くはないな」
興味津々でトール君は、ここぞとばかりに俺に尋ねる。
「ちんこかな。エッチがうまい」
本音で答えると、トール君はなんとなくだが納得したような顔をする。
「シロも、トールも最低な答えを平気でするよね」
日高が笑いながら横から茶々をいれる。
「え、最低かな?そこは、大事なとこじゃね?」
「まー、トールは俺の顔が好きらしいけど。まあ、トールの場合は昔からそれは知ってたけどね」
「シロ、顔とか体がイイとかいうのは最低らしいぞ」
電話を終えたたけおは俺に電話を返して、隣の俺の髪を軽く撫でる。
「まあ、普通に最低だけど……そう仕向けたし仕方ないっす。でも、士龍に気にいってもらえるのはすごく嬉しい」
耳元で言われて、俺は照れてどうしようとか思う。
虎王は、こーいうことにかなり照れとかないのか、平然としている。
2人も当てられたとばかりの表情をする。
「さてと、俺らはこれからデートいくから、冷蔵庫のもん、好きに食って?寝室も使っていいぜ。俺ら朝まで帰らねーから。帰ってきたら送るし」
トール君は笑顔を浮かべて、日高の肩をぽんと叩く。
そういえば夜はデートって言ってたな。
「あー、これから夜景とか?」
「駅前のSMホテル。ヤスの合格祝いにつれてく約束してたからよ。馬とかなんか檻とかなんかスゲエのあるらしーぞ。なんか面白そうだし、ヤスが行きたいらしいし」
うわ、そんなとこできっとイロイロされちゃうのに、笑顔で語っちゃうトール君はかなり配線がおかし過ぎるだろう。
「シロ、ちょっと待って」
日高は寝室に入っていって、なんか大きな箱を出してくる。
「ちゃんと消毒してあるし、好きに使っていいよ」
ハコの中には、大人のオモチャが沢山入っている。
うわー。トール君、こんなん使われてるんだ。
「ヤッちゃん、すごすぎない?うわー」
ちらとたけおを見やると、唖然としてトール君たちを見ている。
まー、そうだよな。まったく柄じゃないというか、想像できないというか、いや、むしろしたくないというか。
「これとか、トールめちゃくちゃ感じてたみたい」
ヤッちゃんは、うずら大の玉が連なったバイブを取り出してブラブラと見せる。
まあ、綺麗な顔して日高はそうとうえぐいんだなって感じがヒシヒシと伝わってくる。
「えー?俺的にはこっちが好きだぞ?」
横からトール君は箱をのぞきこんで、太くてなんか形もグロテスクなのを掴んで俺に手渡す。
「動きが絶妙だぞ。オススメだ」
真顔で感想を述べられても、すげえ反応に困るんだけどな。横から、たけおがシゲシゲと箱の中を覗いて唖然としている。
まー、そうなるよな。
「冷蔵庫のもんとか、寝室とか好きに使っていいからな」
そう言い置いて、着替えた2人は仲良く肩を並べて出ていった。
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