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屈辱と……
突然訳の分からない事が自分の身に降りかかり、俺は奴の前で酷く動転した。
「な、何する気だ!? それで何するっ……!!」
「悠真。見てごらんよ、これは昔に西洋で使われていた拷問器具だ。手に入れるのに苦労したよ。ほら、これが何なのかわかるかい?」
「ひっ……!?」
聞き間違えじゃない限り、あいつは『拷問器具』と言ってきた。冗談だろと頭の中が真っ白になる一方で自分の身の危険を感じた。
イカれた奴に突然拉致られて、今から拷問されるかと思うと一瞬で絶望した。あの時の選択しを、俺は間違えた。やっぱりあのときに、死んでればこんな目には……。
そんな事さえも今は虚しく思えた。あいつは絶望する俺を見て、目の前で楽しそうに笑った。
「これは西洋で使われていた拷問器具の一種だ。といってもこれは『奴隷』に使うものだ。わかるかい?」
「くっ……!」
あいつは平然と言いながらそう話した。こっちは心臓が飛び出るぐらい、心拍数がヤバい状況だ。辛うじて自我は保っているが、そろそろ限界だ。誰でもいいからこの『悪夢』を終わらせてくれと願った。
「これはおもに奴隷に対して使う焼き印だ。どうだい素敵だろ? ゾクゾクするかい、悠真。私もゾクゾクするよ。これを今からキミに焼きつけてあげる。嬉しいだろ? キミが私の『奴隷』だという証拠を。そう、印(しるし)を残そうじゃないか?」
「ッ…――!」
気が動転しそうな状況の中、アイツは静かなる狂気を俺に見せてきた。
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