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終わらない悪夢
扉の前に仮面の男が立っていた。相手が自分を見て、その場で笑ってるように思えると。悠真は怒りで震えた唇をぎゅっと噛み締めた。そして、手に持っていた硝子の破片を両手に持つと大きな声を上げて咄嗟に相手に向かって走り出した。
「わぁあああああああーーっ!!」
その瞬間、自分の中で臨界点は既に通り越していた。目の前にいる相手を今すぐ八裂きにして、自分が助かる道しかないと思うと、冷静な判断もできないまま相手に感情を剥き出して切りつけにかかった。
悠真は本気で硝子の破片で相手を刺そうと殺意を剥き出した。そして、勢いよく走ると大きな声を上げて切りつけた。その瞬間、男は仮面の下で薄笑いを浮かべると、透かさず右側の壁にヒラリと避けた。
「っ!?」
仮面の男が壁の方に避けると、悠真はしまったと言う表情を一瞬、浮かべた。扉の前には、硝子の破片が鋭く突き刺さっていた。
「危ない危ない、それで私を刺そうとしたのか?
悠真は本当にいけないなぁ――」
「クソッ!!」
ナギはそう言って彼の背後で不意に囁くと、次の瞬間スタンガンを彼の首筋に押し当てた。そして躊躇いもなくバチバチと音を鳴らせて放電した。
『ぐぁあああああっっ!!』
首筋にスタンガンを当てられるとガクッと床に崩れ落ちた。そして倒れ込むと呻き声を上げた。ナギは悠真をスタンガンで大人しくさせると、苦しんで倒れてる彼の真上から話しかけた。
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