107 / 217

終わらない悪夢

「――ダメだなぁ悠真は、いつまで経っても学習力が足りない。ねぇ、それで本気で私を『刺そう』としたのか?」 下面の男はそう言って、悠真の頭を真上から靴で踏みつけた。そして見下したように話を続けた。 「一つ言っておくがキミは私からは絶対に逃げれない。前に言ったよね、呪うように愛してあげるって。もう忘れたのか? それともまだ、自分の立場がわかってないのかな……」 「あぐっ! くっ、くそ……! てめぇ…――!」 頭を靴で踏みつけられると苦しそうに藻掻いた。 「ここはね、キミを閉じ込める為の檻だ。可愛い小鳥をみつけたら誰だって自分の物にしたいから檻の中に閉じ込めるだろ、違うかい? 私はあの日、悠真という可愛い小鳥を見つけたんだ。初めて会った時のときめきは、どんな言葉に例えても見つからない。強いて言えば『新鮮な空気』だ。そう、キミからはそんな新鮮なものを感じたよ――」 「このストーカー野郎……!」 彼はそう言って怒りを剥きすと強く睨んだ。ナギは下面の下から薄笑いを浮かべた。 「悠真がどんなに暴れて叫んでもここからは逃がしてあげないよ。例え私を拒絶して憎んで恨んでも私にはどうってこともない。そして、すべてを諦めて絶望して空っぽになった時にキミは初めて私の前で心から『服従』するだろうねぇ。ああ、そう思うと体がゾクゾクするよ」 「クソッ! 誰がテメーなんかに服従するか! そんなのは死んでもお断りだぜ! 俺をさっさと自由にしろ、今すぐ家に帰らせろっ!!」 そう言って暴れると真上から踏みつけられた頭を振りほどこうとした。 「ああ、ダメだな悠真――。ほら、無駄な抵抗するからお仕置だよ」 男は再びスタンガンを手に持つと、いきなり彼の首元に押し当て放電させた。悠真は強い電気ショックを受けるとその場で途端に意識を失った。  

ともだちにシェアしよう!