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─輪─

そこでカッとなると思わず感情を剥き出した。 「そんなこという為に俺を呼んだのかよ……!?」 そう言って言い返すと、あいつは黙ってタバコの煙を深く吸って俺の方を何も言わずに、チラッと見てきた。そして灰皿にタバコの火を押しつけて消した。重苦しい空気の中で、あいつは不意に口を開いた。 「――ああ、そうそう忘れてた。ほら、これ。あの時の約束の金」 「っ……!?」  あいつは横から、白い封筒をスッと差し出してきた。それを前に俺はハッとなって体が一瞬反応した。そしてギクリとした顔で唾を呑み込んだ。 「受け取らないのか? これを『貰い』にきたんだろ、違うかよ?」 真樹は持ってる白い封筒を見せつけると俺の前にある台の上に置いた。それを見た途端に、僅かに喉が渇いた。 「なっ、何だよこれ……?」 「あれ、忘れた? それとも惚けてる? まあ、いいや。ほら、この前一緒に遊んでくれただろ。その礼だ――」  真樹はそう言って淡々と話した。目の前に置かれた白い封筒に身体が小刻みに震えた。それは、俺には必要な金だった。だが置かれた白い封筒を手にすることはなかなか出来なかった。顔面蒼白になって身体が震えると、隣で真樹は人の顔色を伺ってきた。  

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