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─見返り─

 あいつに直接聞いても、端から答える気は無さそうだった。それに話をはぐらかされそうだ。 それにあいつの中では俺と一生一緒にいるというイカれたドリームを頭の中に浮かべているような変態な奴だ。 奴は端から俺が逃げ出さないと思っている。その証拠に最近は両手には手錠がかけられていない。だから俺は唯一、自由に両手を動かせた。そんなことを考えているとあいつが部屋に入ってきた。 「悠真、今日は大人しくしているみたいだね?」 「……」 「ほら、出来立ての朝食を持ってきたよ。今日は朝から栄養たっぷりの野菜スープを作ったんだ。後はトーストと目玉焼きだ。そして、デザートはプリンだ。どうだい、健康的な食事だろ?」 「……」 「私は君の健康を管理できて幸せだ。だからね、大事な悠真がこれからも『ここ』でずっと健康でいられるように、しっかりと健康的なメニューを考えるよ」 あいつはそう言って仮面の下でクスッと笑った。俺はベッドの上で無言で睨みつけながら言った。 「ケッ、朝からとんだメルヘン野郎だぜ。テメーに健康を管理される覚えはねんだよ。彼氏気取りなら寒気がするぜ」 そう言って言い返すと、あいつは俺の顔を無言で平手で叩いてきた。そして、頭の髪の毛を鷲掴みされると上から偉そうに喋った。 「だめじゃないか口答えは……。そうやって何でも私に刃向かうから、また新しい傷が増えるんじゃないか?」 「ッ……! このイカれたサディスト野郎が、いい加減俺を家に帰らせろ!」 そう言った瞬間、あいつは俺の首を絞めて馬乗りになった。 「ハハハッ、キミは帰れないよ。キミに帰る場所なんてないんだ。だからいい加減、大人しく諦めたまえ!」 「あぐっ……!」  首を両手で締めながらそう言って笑ってきた。奴が狂ってのは知っているが、今日は一段と頭が狂っていた。馬乗りになりながら首を絞められて息ができなくて暴れるとあいつは急に首から両手を離した。   

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