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─見返り─
時計もカレンダーもないが、俺はその中であいつの行動を監察することにした。此処から脱出するにも、まずは相手のことを知るべきだと思った。そして、あいつの行動を見ながら隙がでる瞬間を狙おうと思いついた。
ナギとかいうあの野郎は、普段は何してるのかわからない。それに俺の所に来るときは食事と、身の回りの世話とたまに様子をみに来るときだ。あいつが来るときは、外の廊下から歩く靴音が聞こえる。それも歩く靴の音から広い廊下だと俺は考えた。
それにこの前、あいつに拷問された時に見知らぬ地下にいた。だから少なくてもこの家には地下があることを推測した。問題は俺が今どこにいるかだった。地下か、それともどこかの階か。鉄格子がある窓は板で覆われていて、ほんの少しの隙間からわずかに外の光が見れる。だが、後はほとんど周りが見れない。そして、次に考えたのは時間帯だった。
監禁されてるとは言え毎日の食事は出る。だから俺はこう考えた。あいつが食事を運んで来るときは1回目が朝。二回目が昼。そして三回目が夜と。細かい時間帯なんてわからない。だけどあいつが食事を持ってくるタイミングで朝、昼、夜と時間を作ることにした。そうすることで、毎日の体内リズムをとることが出来た。この異様な空間は、俺自身を益々おかしくさせる。だから俺はそれに呑まれないように自分で気をはった。
「のまれてたまるかよ……!」
そう言って自分自身を奮い立たせた。そんな時、俺はあることを考えた。どうしたら『日付け』がわかるか――。
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