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─見返り─

「おや、何してるんだい悠真?」 「……ッ!?」  いきなり彼が部屋に入ってくると、悠真は体をビクつかせて後ろを振り返った。ナギは、不思議そうに彼に目を向けるとクスっと笑った。 「何だい、また一人で悪さをしていたのかい? キミは部屋の中で、大人しくしてられないタイプのようだな。まるで動物みたいだ。そうやって、無駄に暴れて抵抗してもこの部屋からは絶対抜け出せないのにキミは本当に面白い子だね。ああ、それともこの部屋から脱出できるとか、そんな事を本気で思たりしているのか――?」 「ッ……! うるせぇーよ、黙れっ!!」 「あははっ、やはりキミは面白いな」  悠真はムキになって言い返すと、強い眼差しで睨み付けた。だが、ナギはそんな事も気にせずに話を続けた。 「ああ、そうだ。今日はキミの好きなハンバーグを作ったんだ。どうだい? 凄く美味しそう匂いがするだろ。2日間煮込んだデミグラスソースには、隠し味にチョコレートをいれたんだ。これが結構イケる味でね。キミも昔から『好き』だっただろ?」  「はっ? 昔……?」  その言葉に悠真は不意に思った。  『昔』? 一体、こいつは何を言ってるんだ?  

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