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悪夢の始まり
こいつ……!
こいつはあのイカれた奴だ……!
思い出した……!
箱の中で俺に電話してきた男だ……!
間違いない…――!
まっ、まずい……!
こいつに殺される……!
早く逃げねーと……!
今まで途切れていた記憶を思い出すと、目の前にいる男が箱の中に閉じ込めた奴だと気がついた。まさかこんな形で思い出すとは…――!
奴は異常だ!
まともに話が通じる相手じゃない!
はっ、早く……!
青ざめた表情で箱をジッと見つめると、ここから逃げ出すタイミングを図った。こんな場所に一秒でもいたくないと思ったのと同時に全身から緊張が走った。
「あはっ、やっと気づいたのかい悠真君? そう私がキミを箱の中に閉じ込めたんだ。やっと思い出してくれて嬉しいよ」
『うぁああああああああああーーっつ!!』
目の前で戦慄が駆け抜けると、本能的に身の危険を感じて動揺した。そして、テーブルから離れて逃げ出した。 真っ先に出口に向かうと、いきなり足元の鎖をグイッと引っ張られてドアの前で派手に転んだ。
「ううっ……!」
「逃がさないよ。キミは、私だけのカナリアだ。そしてここが『檻』だ。ここはキミを閉じ込めて逃がさない為の素敵な檻だよ」
そう言って俺の頭をグイッと後ろから掴むと、狂気に秘めた瞳で上から見下ろして言ってきた。その言葉に、全身が震えがった。
「檻だと……? 俺を一体、どうするつもりだ……? 俺をここに監禁するつもりか…――!?」
「フフフッ。そうだよ、その為にキミをわざわざここまで運んで連れてきたんじゃないか。2人だけ何だからもっと楽しみなよ?」
『っ…――! くっ、くそぉ離せぇっ!!』
必死で抵抗すると脇腹に突如、電流が走った。バチバチっとスタンガンの音が聞こえると、その瞬間、意識が急に遠退いた。目の前に扉があるのにその手前で気絶させられた。どうやら俺をここに『監禁』するつもりらしい。意識が遠退く寸前に視界に入ったのは白い仮面の下から見えた奴の笑った顔だった――。
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