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―現在―(悠真side)
「そうだ。悠真キミに一つ伝えとく事がある。私は二三日忙しくなるから此処にはこれ無くなる。だからキミが飢えて死なないように食料を置いて行ってあげるよ。優しいだろ、私は?」
「それはワザワザすまないな、お前にとって俺が飢えて死ぬのが困るのは分かったけどな……!?」
「ああ、そうだとも。悠真を生かす理由が無いとでも思ってる? キミは私の大事な主役だ。私の舞台にはキミは『必要』何だよ。そうでなきゃ、このまま生かす必要があると思うか?」
「ッ…――!?」
一瞬アイツの言葉に全身がゾッと寒気を感じた。奴は狂気をチラつかせながら仮面の下でクスッと笑った。根深いドロドロとした感情を見せつけられると、そこで黙り込んで息を呑んだ。
「――さっ、そろそろ私は戻るよ。これから忙しくなるからね。悠真は良い子で部屋の中で大人しくしてるんだよ。私に会えなくて寂しいと思うが、我慢していてくれ。良い子でいたら、欲しい物を買ってきてあげる」
アイツはベッドから立ち上がると俺の傍を離れてドアの前に箱を置くと、扉を閉めで鍵を掛けた。そして、何処かに行った。奴が居なくなると恐る恐るベッドから出て、アイツが置いて行った箱を不意に覗いた。中には二三日分の食料と、お湯を沸かす白い電気ポットが入っていた。
「ああ? これで凌げって言う気かよあの野郎。一体どこに行ったんだ……?」
考えてみれば俺はアイツの事を何一つ知らない。いや、アイツには『秘密』が多すぎて実際、分からない事だらけだ。たまに上から降りて来て俺の様子を確かめに来る。上から微かに、靴の足音もするし。きっと上はどこかの部屋に違い無い。
アイツはいつも怪しげな白い仮面をつけていて、あの髪型だって本当はウイッグをつけてるのかも知れない。それにあの不気味な目の色だって……。
食料が入った箱を両手で抱き抱えながらアイツの事について、自分なりに色々と考えてみた。こうなったら奴の事を探るしかない。でなきゃ、何もわからず仕舞いだ。きっとアイツには何かある。もっと深い何かが――。
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