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―彼女―
それはきっと眼鏡をしている所為だと、自分でも思っていた。でも、コンタクトにはしなかった。小さい頃から眼鏡をしていたから慣れている所為もあり。なかなか自分を『イメチェン』する機会も無かった。
それにコンタクトに替えた所でも自分には自身が無かった。地味っ子で陰キャな社交性も薄い文系女子の私にはイメチェンの扉を開くにはハードルが高すぎた。
だから自分で分かっていながらも地味な服ばかり着ていた。せめて髪型だけでも変えようと、努力した。姉の部屋からファッション雑誌をこっそり持ってきて、自分の部屋で読んで見たけれど直ぐに挫折した。
鏡の前で自分の長い髪をイジって見たけれど、何故かパッとしなかった。それに、自分で髪型をイジるのも結構難しい。
それを自分で毎日維持出来るかと言ったら無理があった。髪も母親がいつも三つ編みをしてくれたからそっちの方が慣れ親しんでいた。
母親の手を借りずに自分で一生懸命、髪型をイジって見たけれどポニーテールをした時に思った。鏡を見て、これは自分じゃない気がした。まるで別人みたいな気がしてくると、結んだ白いリボンをほどいてイメチェンするのをやめた。そして、ベッドに倒れると枕を抱えながら塞ぎ込んだ。
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