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マツダくんは常に災難⑨
その夜、松田家は大変な騒ぎだった。
両親は遠い将来の孫の練習だと張り切り、父が茉莉ちゃんと一緒に風呂に入って、母は1歳児用の料理を真剣に作りすぎたおかげで、松田兄弟の夕飯はテキトーな焼肉丼(焼肉のタレで味付けした手抜きメニュー)になっていた。
「いたーあーま!」
「あらぁ、いただきますしたのねー。茉莉ちゃんえらいでちゅねー。」
「あーい!」
「おぉ!お返事も上手 でちゅねー。」
茉莉ちゃんの一挙一動に両親はメロメロだった。
「にーちゃん、俺たちに子供産まれたらあれ以上かな…。」
「うーん……100倍甘いだろうな。」
「おうぇ……。」
智裕と智之 は両親の変貌に恐怖を感じた。
この人たちはいつも一緒に暮らしているあの両親なのだろうかと。
「茉莉ちゃーん、今日はジィジと一緒 に寝まちょーね。」
「あい!あー!」
智裕は1歳児の順応性に驚くのと同時に、まだ44歳の父が「ジィジ」と自称したことにショックを受けた。それは智之も同じだった。
しかし茉莉ちゃんの無垢な笑顔に癒されもした。
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