106 / 1000
ツワブキさんに好敵手?⑧
昼休みが終わろうとする時間、智裕はトイレで用を足しながら考えた。
(やべーよ、拓海さんにコケたとか嘘ついてたのバレたよ完全に。野球してんのも言ってなかったし何かすげーショック受けてたよな。そーだよな、あんま言いたく無かったから言わなかったけど水上には軽く話せてんだし、きっと拓海さんのことだからまたネガティブなこと考えてそうだし、でもどーしよ、いつ謝る?今日何時に帰ってくるんだろ?あ、でも今日は茉莉 ちゃんいるだろうからあんまシリアスに話し合いとか出来ないだろ。また今度の日曜日にオフクロたちに預けて2人で話し合うか?いや、あと何日だよ!その間にもしかしたら拓海さんにフラれでもしたら…!あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁもう何やってんだよ俺えぇぇぇぇぇぇ!)
手を洗って、手洗い場を出て教室に戻ると、3分前との教室の雰囲気が変わってた。
クラス全員が戻ってきた智裕を睨んでいるようにも見える。
「え……な、何?」
動揺しながら自分の席に戻ると、高梨 が智裕の前に立ちはだかり、机を思いっきりバン、と殴る。
「ヒイッ⁉︎」
「まぁつーだあぁぁぁぁぁ…アンタのヘタレにゃほとほと呆れたわぁぁ……。」
「え!何⁉︎ヘタレ?ヘタレなの俺⁉︎いや、ヘタレだけど!」
智裕を追い詰める高梨はメデューサ化していた。
そこから四方に大竹、若月、増田 が詰め寄る。圧迫感が凄まじい。
「え……みなさん、何?何なの⁉︎はぇ⁉︎」
智裕は縮こまって怯えて、追い詰められたネズミのようになる。窮鼠 猫を噛めない。
「トモさぁ、恋人同士で隠し事は無しだろー。」
「しかもそれを他の男にはベラベラベラベラ、恋人の目の前で楽しそーにお話するのはどうかと思うよ?松田くん?」
「ツワブキちゃん、俺の腕の中で泣いてたぜ。智裕くんに嘘つかれたーって。あと水上って誰?」
「へ?水上⁉︎なんでアイツ出て……つーか若月てめぇ何してんだよ!」
「松田ぁ、5限目の公民は自習だってさー。」
そしてトドメの言葉は恒例のごとく、無表情の宮西 。
彼の手には何故か縄が。
「久し振りに学級尋問かな。」
(学級尋問って……若月が女の先輩をアレしちゃった時にやったあの地獄の……。)
「大丈夫だ松田。痛くねーから、すーぐ終わるから。」
被疑経験者の若月の目は笑っていない。
キーンコーンカーンコーン
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ともだちにシェアしよう!