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オオタケくんも災難②
「えっと………やっぱり…ご迷惑、ですか?」
「………ところで君は一体誰でしょうか?」
「すいません、俺は1年4組の赤松 直倫 です。野球部に所属してます。よろしくお願いします!」
そして90度に腰を曲げて勢いよくお辞儀をされて、裕也は怯えるように「ひっ!」と声を上げて一歩後ろに下がった。
「よろしくお願いされたくねーよ!なんだよ!俺を罰ゲームに使うんじゃねー!」
「罰ゲーム、とは?」
「とぼけんじゃねーぞ!こう見えても俺は、女子にも『アンタに告白なんて罰ゲームに決まってるじゃない!』と言われる男第1位だぞ!」
「そんなことありません!先輩はとても素敵で可愛らしいです!」
「可愛いとか言われても嬉しくねぇよ!」
これだけ裕也が威嚇するように否定の言葉を並べても、直倫は全く動じなかった。
後ろでしゃがむ智裕は爆笑を堪えて腹筋が崩壊しそうになっていた。
「俺は本気で先輩が好きです。昨日購買で嬉しそうに新商品のメロンオレを幸せそうに飲んでいる先輩が可愛くて告白を決心しました。もう気持ちを伝えたので明日からガンガンアピールさせていただきます。」
「しなくていい!俺は可愛いボインボインなウサギ系女子にしか興味ねーんだよ!」
「今日はこれで失礼します。」
また90度、頭を下げると、直倫は野球帽を被ってグラウンドへ走って行ってしまった。
「もう来んなあぁぁぁぁぁ!」
裕也は直倫の背中に向かって叫んだが、きっと彼には届いていないだろう。
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