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オオタケくんも災難④
野球部の1年はまだユニフォームも配られていなかった。体操服と名前を書いたゼッケンを着用して練習をする。
ランニング後にストレッチ、そしてアップ運動を30分かけて行う。
10分休憩した後に、ポジションごとに分かれて練習をする。その休憩時間だった。
「お前、マジで告ったの⁉︎」
「はい。昨日先輩に当たって砕けろとの指南をいただきましたので。」
「いやあれはほんの冗談だったんだが……。」
直倫と同じ内野手の2年生の清田 は直倫の行動力に脱帽した。
あまりに直倫がまっすぐ過ぎて昨日の自分の発言に罪悪感も出てくる。
「そ、それで…相手の反応は?」
「罰ゲームじゃないかとか、女にしか興味ないとか罵倒されました。」
「なんでそんなに笑顔なんだよ……。」
「大竹先輩はまだ俺のことを知らないようだったので明日からまたアピールしていきます。」
「いやー…そりゃ無理だと思うぞ。」
「やってみないとわからないじゃないですか。」
至って真剣な態度の直倫に、清田は「あのなぁ。」と気まずそうに話を切り出す。
「5組の大竹ってさ、同じクラスの松田とホモ説浮上してんだよ。」
「マツダ?」
清田はあまり大きな声では言えないので、少し直倫に近づいて小声で話しだす。
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