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オオタケくん争奪戦①
中間テストを終えた2年5組に、何個か屍 が転がっていた。
「あーーーーー俺あと寿命2年なんだー。」
「奇遇だなーー俺もだーー。」
「松田 も大竹 も、そこに寝っ転がるなよ。ヤマなんか張らないできちんと勉強しとけ。」
「一起 はあったまいいんだもんなー。」
「あったまいい江川 っちに俺らの気持ちなんかわかるかー。」
完全に開き直ってから不貞腐れている2人に江川は頭を抱えると、相棒でもある里崎 が江川の元にやって来た。
そして持っていた箒 を寝っ転がっている2人の顔面に押し付ける。押し付けられた当人たちはホコリやゴミが目鼻口から入って、瞬間に起き上がる。
「うえぇええ!」
「ヨーコさん何すんだよぉ!うえ、ペっ!」
「邪魔なのよそんなとこで寝っ転がりやがって。椋丞 を見てみなさいよ。」
言われた通りに2人は宮西 の方を見ると、宮西は何故かスーパーのチラシを読んでいた。
「今回も全教科赤点追試が決定的なのに今日の夕飯のこと考えているのよ。見習いなさい。」
「ヨーコさん、彼氏にボロクソ言い過ぎでしょ。事実だけど。」
「宮西の特売チェックは現実逃避してる証拠だぞ。」
(はぁ……追試なんかになったら拓海さんに会えなくなるじゃんかよー。しかも今日もう放課後だし、昼休みねーし、拓海さんにチュー出来ないし、腹減ったし。)
智裕が落胆しながら帰宅する準備をしていると、教室がザワザワし始めた。
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