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拡散されるマツダくん(13)

 張り詰めていた糸のようなものが緩んで、全員だらけた。 「いや初めて間近で見たけど、おっかねぇぇぇ。」 「確かに…超こえぇえ。」 「あれカタギじゃねぇだろ。」  男子たちは森の風貌にただ圧倒されていた。するとサッカー部にいる生徒が話し出す。 「4月からの野球部マジでおっかねーから。反対側なのに超声出てるしさー。」 「あーわかる。去年は松田頼みで割とだらけてた系だったからさ、去年比3倍くらい声出てるよなー。」 「1年だけじゃなくて2年3年もかわいそうだよあれは。」  そんな雑談が耳に入る江川は、少しだけ考えるようになる。 「………松田…。」  そして翌日、星野に(かくま)われるように登校した智裕は職員室で「入部届」を記入した。

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