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さようならマツダくん④
「ちょっと椋丞!江川くん!」
騒ぎに気付いて教室から出てきた里崎 が宮西を後ろから抑える。一起も数人の男子に抑えられた。
宮西は里崎の制止を振りほどいて、一起に殴りかかろうとした。
しかし逆に一起が一瞬で腕を振りほどいて、宮西の左頬にストレートパンチを食らわせた。
居合わせた女子はあまりの出来事に絶叫した。
里崎は起き上がって宮西に駆け寄った。
「江川くん!もうやめなよ!あんな腰抜けバカは今は放っておいていいんだよ!」
「里崎も変だと思わなかったのか⁉︎」
「思ったわよ!椋丞だって思ってた!だけど私たちだって……タケちゃんも、カッちゃんも、優里 も、私も、椋丞だって、あんなトモくんみたの初めてで……どうすればいいのかわかんないのよ!」
里崎は思わず昔の呼び方で幼馴染たちの名前を並べた。その叫びを聞いた一起は落ち着いた。
もう1発と用意していた右の拳はコンクリートの冷たい壁で処理をする。右手には鈍い痛みと剥けた皮膚、そこから血が滲んだ。
「大竹!ねぇ、大竹!」
「高梨さん!あんまり動かさないで…私、石蕗先生呼んでくる!」
裕也はぶつけた衝撃で気絶していた。高梨は何度も呼びかけるが返事はない。
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