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さようならマツダくん③
しかし、宮西の方は臆することなく淡々と応える。
「俺らは競技に打ち込んでる松田の方が見慣れてっからな。」
「そうか……俺は正直あんな目に遭ったことしか知らないからさ、本当にこれでいいのかわからない。」
「別に本人が良ければそれでいいんじゃね?江川は考えすぎ。」
「ちょ、椋丞?」
「あ?どういうことだ?」
「ほっしゃんも言ってたろ?松田の心配と同じくらい自分のことも考えろって。松田が助けろって言わないんだったら俺たちは何もしなくていいんだよ。」
「俺は松田が大事な友達だから考えちまうんだよ…!」
エキサイトし始めた気配に危機感を抱いた裕也は一起と宮西の間に入る。
「ちょっと、一起、落ち着こうぜ、な?」
「考えちまうならあんなどヘタレの存在を抹消しろよ。」
「宮西はさ、今日の松田の様子が変だと思わねーのか?」
「あいつが変なのなんて今に始まったことじゃねーんだよ。」
「はぁ⁉︎なんでそんなことわかんだよ!」
「伊達に3歳からの付き合いじゃねーんだよ。お前らとは腐れ縁の年季がちげーの。」
「椋丞も落ち着けよ!なぁ!あんなどヘタレ野郎で喧嘩すんなよ!」
裕也もヒートアップし始めた。
宮西はテンションは変わらないが、裕也にはわかっていた。宮西がキレかかっていいることが。
(椋丞がキレたらマジでおっかねーから止めねーと!)
「たまにはほっといてやれよ、松田松田ウゼーんだよ。」
「どヘタレのクセに全部背負おうとしてっから助けたいって思ってるだけなんだよ!」
「友達っていうならあんなクソヘタレでも信じることはできねーのかよ、クソ真面目野郎が。」
「椋丞!一起!やめろよ!それ以上は本当にダメだってば!」
裕也は2人の腕を掴んでどうにか距離を保っていたが、一起に振り払われ、後ろに飛ばされた。
ガン、と鈍い音がして背中を壁に打ち付けた裕也はその場に倒れこんだ。
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