177 / 1000
さようならマツダくん②
昼休みになると、智裕はどこかに行ってしまう。今までは裕也たちと一緒にご飯を食べてそのまま保健室に直行して帰ってきて揶揄 われて、かなりおバカな過ごし方をしていた。
チャイムが鳴って、1組の清田 が5組の教室にやってきた。
「あれ?松田は?」
智裕が復帰してから何日か経って、こうして清田が智裕を呼びに来る光景が毎日だった。
2人で昼休みも返上して投球練習をするためだ。
「どっか行ったぞー。」
「珍しいな、先に行ったかー。サンキューな。」
廊下側にいた男子が答えると清田はどこかに行ってしまった。
そのやりとりを廊下の窓を眺めながら江川一起 は聞いていた。そして一起の視界には、グラウンドで肩の柔軟をする坊主頭の男子生徒がいた。
「…………一起?」
「あー……っと…これは今はやめておいた方がいいかもな。」
裕也が声をかけたが、宮西は一起の殺気に似た雰囲気を察してそれをやめさせた。
「なぁ…お前らはさ、松田が坊主にして復帰して良かったと思うか?」
一起の方から話を切り出した。少々驚き、怯え、裕也は明朗な言葉が出てこない。
ともだちにシェアしよう!