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さようならマツダくん⑥
「裕也先輩!」
とんでもない速さで裕也に駆けつけて来る生徒がいた。その後ろから小走りで白衣を着た拓海がやって来る。
「赤松 くん⁉︎」
「高梨先輩、裕也先輩どうしたんですか⁉︎」
「気絶しちゃって…てか何で赤松くんは此処に…?」
「2ー5の先輩達が泣きながら『大竹くん』って言ってたのが聞こえてしまっていてもたっても…。」
「そうなんだ……。」
拓海は息を整えて膝をつくと裕也の頭を固定した。
「高梨さん、少し支えていてください。」
「はい。」
高梨が手伝いながらもあっという間に処置が終わると、拓海は次の指示を出した。
「ごめん、保健室から担架を持ってきてください。それと力ある男子生徒は運ぶの手伝ってください。」
「それ俺がやります!」
直倫は当然のように立候補した。
拓海は了承して「お願いします。」と冷静に言った。
「石蕗先生、申し訳ありませんが大竹はお願いします。また後ほどご連絡をお願いします。」
「はい、わかりました。」
星野は裕也のことは拓海に一任すると、一起の腕を掴んだ。
「江川、わかってるな。」
「……はい。」
抵抗することなく、一起は星野について行った。
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