4年生になって俺たちも試合に出してもらえるようになる。 　もちろんレギュラーは5年生、6年生が中心で4年生は精々代打や代走だったりする。 　しかしこの年の地区大会、エースナンバーと言われる「1」の背番号をもらったのは、4年生のトモだった。 　そして地区大会ではチーム史上初の優勝。初戦と決勝戦で投げたのはエースのトモだった。 　初戦の完投完封15奪三振は大記録で、大会MVPを4年生で初めて貰った。 　それがトモの転機になった。 　3学期、トモは公休扱いで学校を休んだ。 　休んだ次の日、全校朝礼でトモは教頭先生に呼ばれて全校生徒の前に立った。 「え⁉︎なんでトモが前にいんだよ。」 「知らねーよ。」 「大竹も知らねーの？」 「おう。」 　俺たちがコソコソ話していると、マイクで教頭が咳払いをした。それを合図にみんな黙った。 「えー、今私の隣にいる4年1組の松田智裕くんですが、なんと今年から少年野球日本代表の強化選手に選ばれました。」 　全校生徒がみんなスゲーって騒いだ。俺もその瞬間は騒いだ。嬉しかった。 　だけど、日に日に俺は寂しくなっていった。