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マツダくんの本音①
6月後半になり、雨も止み始めた。室内練習ばかりだった運動部もグラウンドを駆けられるようになった。
放課後、グラウンドを何周もランニングする野球部の隊列は「四高ぉー!ファイッ!」「オゥ!」と定番の声を上げている。
スポーツサングラスを掛けた森監督は険しい顔をし、隣でストップウォッチを持った野村 の顔も真剣だった。
「残り10秒ぉ!…………5、4、3、2、1、やめー!」
野村の合図で隊列はランニングをやめ、徐々にペースを落とし歩く。
列を乱さないまま、主将の堀 を先頭に監督の前に並ぶ。
そして「気をつけ!礼!」「お願いします!」と90度頭を下げる。昨年では考えられない規律正しい始まりだ。
「今日からは各ポジション毎に調整に入る。それぞれ野村、清田、堀、私の指示に従って各自再来週の県大会を万全の状態で迎えるように。」
はい!
「まず、ベンチ入りの内野はノックから、外野はティーバッティング、投手陣はキャッチボールで肩を作れ。ベンチ外は野村たちの指示を仰げ、以上だ。解散!」
はい!
散り散りになって練習を始めた。
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