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マツダくんの本音(14)
「石蕗さん、そろそろ私たちも行きましょうか。」
「そうですね。」
「大人しく寝てなさいよ。」
「はいはーい。」
智裕が不貞腐れたようにベッドに横たわると、拓海は今一度智裕に近づいて、耳元で囁いた。
「期末テストと県大会終わったら…ご褒美、あげるから、ね?」
智裕の目が点になる。そして拓海を見ると、羞恥で顔が赤く染まりうつむき気味になっている。
ご褒美とは、つまりそういうことだった。
「お、お大事にね!」
拓海は慌てるように松田母と一緒に病室を出たが、心臓は破裂しそうなくらいだった。しかし、松田母の後ろを歩きながら顔が少し緩む。
(良かった……智裕くん、大好きな智裕くんだった。)
そして智裕はベッドで色々と想像をして身悶えてしまっていた。
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