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オオタケくんの変化(13)

(もしかして……おれ……。)  小っ恥ずかしい考えが出てきた裕也は「ぬあー!」と変な雄叫びをあげながら立ち上がる。 「裕也先輩?」 「教室帰る!5限目移動教室だったわ!じゃ、じゃあな!」  全速力で走り去ろうとするが、右腕を優しく捕らえられた。後ろに倒れそうになったが、ひと回り以上大きな直倫の身体に支えられ収まる。  ドクン ドクン ドクン 「へ….。」 (な、な、なんだこれ⁉︎し、心臓……うるさい……っ!) 「ありがとう、裕也先輩……。」 「は、はぁ…。」 (赤松の声…めっちゃ響いて……息が……耳にぃ…っ!) 「俺、また頑張れます。」 「わかった……わかったから…暑い!離せ!」 (もう、これ以上は……!)  チュッ 「ひゃん……な……っ!」 「本当は押し倒したいくらいなんですけど、今日はこれで我慢します。」 「あ……。」 (なんで……解放されたのに……虚しくなるんだ?寂しい……?) 「か、帰る!」  裕也は今度こそ全速力で走る。「あー!」と叫びながら、火照った体温を誤魔化した。
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