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いざ、馬橋学院へ④

 約1時間バスに揺られて、騒がしい街中から閑静な山奥に景色が変わると、見えてきたのは馬鹿デカイ校舎や多くのグラウンドだった。 「わー……私立ってすげーなぁ……あんなに校舎あんのかよ。」  智裕は窓の外に広がる、「馬橋学院」に圧倒されていた。  他の部員たちも「漫画かよ。」「広すぎじゃね?」などと驚愕する。  しかし智裕の隣にいる直倫だけは「ふーん。」と普通の顔をしていた。 「……赤松ぅ、お前はなんで涼しい顔してんだよ。あれすごくね?」 「いや、聖斎(せいさい)学園、これより広いですから。」 「そうなの⁉︎」 「幼稚舎から大学まで一貫であるので山切り(ひら)いて作られた、ちょっとした町みたいな感じです。大学の付属病院やがんセンターなんかも併設されてますし。」 「絶対迷子になるじゃん。家から四高向かうより迷子になるじゃん。お前迷子になったの絶対わざとだろ。」 (しっかし俺、四高でよかったかも。馬橋も聖斎もスカウト来てたけど…色んな意味で生活する自信ねぇな。)  「野球部専用」と書かれた看板を越えて、バスは綺麗なクラブハウスのような建物の前で停車した。  その建物の前には練習着を身につけた大勢の人が整列して立っていた。 「四高のみなさん、ご苦労様です。慌てず降りて下さいね。」  監督たちが先陣を切って降りると四高の部員は再び圧倒されることになった。

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