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最終ミーティング③

 全体ミーティングが終わったら今度は投手と野手に分かれて更に綿密なミーティングが行われた。 「大阪大会では4番の中川は徹底的にマークされてた。彼は内角を攻められた時の打率が落ちているが、それだけじゃ打たれる。」 「じゃあ清田に頼んだ。」 「テメーもちったぁ考えろ。」  智裕はバシッと今中から後頭部を叩かれた。 「いてぇ……それより俺は金子(かねこ)先輩のが怖いっすよ。」 「金子は3番か5番だろうな。走攻守全て揃ったユーティリティプレイヤーで弱点も少ない。長打を警戒して打ち取れば万々歳と考えた方がいいかもしれない。三振は難しいかもしれない。」 「そうそう。あの仏様が悪魔になるんだよ、おっかねーから。」 「えー、あんな穏やかな人がぁ?」 「あー…俺は大阪大会の映像しか見てなかったから、昨日の穏やかな顔にはびっくりしましたよ。」  清田はそういうとスマホを取り出して動画を再生した。 『さぁ、中川を得点圏に置いて5番の金子雅嗣(マサツグ)です。まず1球目、ストレート、これは見ましたボールです。』  バッターボックスに立っている金子は顔をしかめているわけでもないのだが、とんでもなく悪魔のような雰囲気を(まと)っていて、知らなかった桑原達は戦慄した。 「あ、あ、阿修羅か?」 「閻魔大王だろこれ…。」 「明らかに地獄からの使者です。」 「俺は優しい金子先輩がいいです。」 「まぁ、中川と金子、この軸を警戒しろってことだな。」 (中川先輩、金子先輩……本当に2人とも強い。だけど、もう引き返せないんだよな……戦わないと……。)  バシッ、今度は背中を叩かれた。叩いたのは桑原だった。 「ばーか、自分だけマウンド独り占めすんじゃねーぞ。俺たちいるんだから。」 「桑原先輩……。」 「お前よりカーブ投げんの上手いんだからな。なんなら1回で降りてもいいぞ。」 「や、それはちょっと清田に殺されます。」

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