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激闘前夜①

 智裕が部屋に戻ると先に帰っていた直倫が窓を開けて外を眺めながら電話をしていた。 「はい……はい………裕也さん、愛してます。」 (おいおいおいおい…大竹の奴、いっつもあんなキザったらしい言葉掛けられてんのかよ。) 「……あ、お疲れ様です。」 「お、おう…。」  電話を切った直倫は先程までの甘い顔が嘘のようにキリッとした顔に切り替わって智裕に接した。 「投手のミーティング長かったですね。」 「まぁ、マークしなきゃいけねぇのばっかだったからな。あー、疲れたぁぁぁ!」  智裕はベッドにダイブしてうつ伏せのまましばらく動かなかった。 「なぁ、赤松ー……何で聖斎行かなかったんだー?」  智裕から話を切り出した。 「………まぁ、色々あったんで…。」 「…………セックスした時の大竹どうだった。」 「最高に可愛らしかったですよ。」 「何でそれは即答すんの⁉︎」 (まぁ、またいつか聞けるだろうな。) 「なぁ、俺も可愛い恋人に電話していい?」 「どうぞ。俺水取りに行ってきますから。」  直倫はペットボトルを持って部屋を出た。 (赤松……明日、大丈夫か?緊張してんのか?)

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