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激闘の日【試合開始前】⑤
ウグイス嬢のアナウンス、一人ひとりの名前が挙がる度に歓声があがる。
練習をしていた面々がグラウンドから引き揚げ始めた。
「すごい、なんか緊張感が…。」
「あー、うまー。」
「ちょっと何ビール呑んでるんですか。」
「えー、あちぃんだもん。」
独特の雰囲気に外野スタンドで座っている一起まで緊張してしまう。
一方で隣に座っている裕紀は冷たいビールをゴクゴクと呑み味わう。
「水分はこまめに摂れよー。」
「わかってますよ。結構ここまでピリピリする雰囲気が伝わってるのに呑気ですね。」
一起が呆れてため息を吐くと、裕紀は横から頬をつねる。
「かーずきー、敬語になってる。」
「へ?」
「敬語禁止っつったろ。」
「は、はひ……。」
「ほら、ヒロたん♡って呼べ。」
「へ⁉︎」
「呼ぶまで離してやんねぇぞ。」
(先生もしかして酔ってる?いやまだ1杯目だぞ⁉︎)
「ほーら、一起。」
イタズラっぽく笑うと一起の耳に囁く。
「いいの?チューして勃たせても。」
「ひぅ……ひ、ひろはん……。」
本当にやりかねない、と危険を察知した一起は「ヒロたん」と呼び、裕紀は満足そうに手を離した。
「いてて…もう試合始まりますよ。」
「おー、そうだな。」
グラウンドでは審判がホームベースの前に集まりだした。
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