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激闘の日【1回裏】②

「あれが東の松田のスプリットかー。あんなんプロ野球やないか!」  外野席で観戦している裕紀たちの隣に座る関西のプロ野球球団の法被(はっぴ)を着たおじさんが何故か悔しそうに文句を言う。 「あれってフォークボールじゃないんだ。」 「あー…松田の球は回転がかかっていてフォークボールよりも速いんだよ。だが清田が松田のフォークを捕りきる技術と松田のフォークはまだ制球が甘いから封印しているらしいぞ。」  一起の疑問に裕紀はビールを飲みながらダルそうに答える。 「…裕紀さん、詳しいね。」 「まぁな、惚れ直した?」 「見直しただけです。」 「可愛くねーな。チューするぞ。」  裕紀の言葉はスルーされ、また2人はグラウンドへ目を向けた。  カキンッ  打たれたがボテボテのセカンドゴロで余裕のアウトだった。  次の打者に対しては、内角高めにストレートを要求した。これも清田の予想が的中して、カキンッ、と鈍い音と共に打球はレフト方向へ高く上がり、レフトの堀がしっかり捕った。  たった4球で2アウトという素早さに観客は驚き、四高側は喜んだ。

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