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激闘の日【6回表】①

 1度も打ち取れていない相手に、畠は思考を巡らせる。 (コイツ、ホンマに弱点ないんやな。ここは単打で済めばええやろ。外角低めに打ち取るで。)  畠はスライダーを要求してサインを出す。  しかし八良は首を縦にも横にも動かさない。焦点も畠の構えるミットに合っていない。  明らかに様子がおかしいが、すでに振りかぶっていた。 (は?はぁ⁉︎)  投げられた球は見たことのない、受けたことのない球だった。  咄嗟に畠は取るが体勢が崩れて転ぶ。すぐに球審に「大丈夫か」と声をかけられ、「大丈夫です」と答え立ち上がり砂埃(すなぼこり)を払う。 (今の……ストレートから急に開くようにして……まさか、バックドア⁉︎アホか!)  球審に新しいボールを要求して、投げ渡しつつ八良の様子を伺う。反射的にボールをグローブに収めたが、畠と直倫の方を全く見ていない。 (ちょ、サインまだや!何でセットに入ってんねん!さっきの回で落ち着いた思っとたんに…!)  畠と同様に直倫も違和感を覚えた。  怯んで震えそうな足を拳で叩き耐える。  そしてバットを構えると、すぐに振りかぶられる。  ズドンッ  なんとか受け止めた畠のミットに鈍い音が鳴った。  直倫は後ろのビジョンを見ると信じられない数字が出てきた。

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