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激闘後の晩餐⑥

 智裕は右手に箸を持ったままボーッとしていた。その目は真っ赤に腫れていた。  智裕の右側には中川、その中川の隣に直倫が黙々と寿司を食べていた。 「……なぁ、えっと…アマタツくん。」 「赤松です。」 「あぁ……悪い、赤松くん。なぁ、コイツに何か言うたんか?」 「………ちょっと、喧嘩になりました。」 「まっつんに喧嘩する気力残っとったんか……はぁ……。」  中川は何も反応しない智裕のチクチク刺さる伸びた坊主頭をわしゃわしゃと撫でた。 「まっつーん、もっと食べー、特上寿司やでー。」 「…………ぃ。」 「あぁ?聞こえへんわボケ。」  中川は智裕の醤油皿に中トロの握りを1貫のせた。そしてまたため息を吐くと赤松の方を向いた。 「なぁ、アマタツくん。」 「赤松です。」 「ボケやがなー、マジで返さんでーや。」  中川は本気で間違えていた。向かい側にいた八良が「ボケはボケでも天然ボケやもんな。」とニヤつくと中川は八良の額に割り箸を刺した。  八良は「痛いー!シュンちゃんのアホー!」と言いながら離席した。  それを確認したら中川は「さてと。」と改めて赤松を向く。 「何で喧嘩したん?」 「…………松田先輩があまりに自身を卑下した言葉を吐くので、ついカッとなってしまい…。」 「ジシンをヒゲ?」  中川の偏差値はとんでもなく低かった。  直倫はそれを察したが、言いなおすのも失礼だと思いそのまま会話を続けた。

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