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熱帯夜と嫉妬④(※)

「あ…あぁ……。」 (ナカ…こんな…熱いの……初めて……。)  注がれる熱は初めてだった。  自分が愛しい人を全部受け止めていると思うだけで、なんとも言えぬ充実感があった。  まだ敏感で余韻に浸っている一起の身体を、裕紀は間髪入れずにまた攻め始めた。ゆるゆると律動を再開する。 「ちょっと…うご、か…ないでぇ…んん、あ、あ。」 「言ったろ?足んねーって。」 「あ、あ、あぁあっ!も、なんで…っだ…。」  翻弄されながらも、一起は考えた。 (先生、今日俺と見た夕陽はどうでした?俺は辛かったですけど、隣に先生がいたから少し平気でした。先生、俺と一緒なら夕陽を見ること出来ますか……なんて言えない。) 「好き……あ、あ、あぁ!」 「あぁ…そうか…じゃあもっと激しくしていいな。」 「ん、あぁああっ!」 (先生は?俺のこと、好き?俺のことは……でも、それでもいいや。)  それから先は考える余裕もなくなる快感が一起の体を蝕んだ。  はしたなく、声を荒げる。 「キス、し、て……。」  そう強請(ねだ)って与えられるキスで全身が痺れ、舌先とナカを激しく犯され、ふるふると震えるソレが裕紀の硬い腹筋で擦られ、もう精液は空っぽのはずなのに絶頂に達して足の先がピンと張って震えた。 「一起、一起…。」 「あ、あぁ…ひろき、さん……好きぃ…。」  伝えたい言葉と同時にまた涙をこぼす。  これは本能じゃない、感情の涙だった。  そして裕紀の頬にも汗と一緒に、少しの涙が伝って、一起の胸に落ちた。  

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