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戦友たちとの別れ③
「ハッちゃん!ハッちゃんハッちゃん!」
「かなちゅん⁉︎…こない朝早よからどないしたん?」
「どないしたんやない!昨日あんなボロボロになって心配したんやで!電話もメッセも全然繋がらんし…ウチ、ホンマに怖くて……。」
「…かなちゅん…。」
「勝つとか…負けるとか……そんなんどーでもええ……ハッちゃんに何かあるんが1番イヤや…うわぁあん…!」
「かなちゅん…すまんな。」
泣きじゃくるかなちゅんを八良はぎゅっと抱きしめた。
ひとしきり泣いたかなちゅんが顔を上げると、八良はかなちゅんを見つめた。
「泣いたらあかん、かなちゅんは笑顔が1番や。」
「うぅ…ハッちゃんのせいやもん。」
「ホンマにごめんなさい。それと、ありがとうな。愛しとるで、かなちゅん。」
「ハッちゃん…。」
周りの目を憚らず、2人は熱烈なキスを交わした。
馬橋の2、3年生のレギュラー陣は慣れている様子だったが、その他の男子たちには非常に刺激的な光景だった。
「八良先輩⁉︎」
「うっわー……だいたーん。」
「あはは……相変わらずやなぁ……。」
智裕と直倫は恋人の顔を思い出して「羨ましい、早くキスしてぇ」と無の表情になる。
近くで見ていた中川は何故か複雑な表情をする。それに気がつくのは金子だけだった。
「駿太 、顔が怖いで。嫉妬か?」
「んなわけあるかアホ。」
少しだけ拗ねたように応えると2人から目を逸らして智裕の隣に行った。
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