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アカマツ兄弟と海の景色⑦
その日の夜、智裕のスマホに見ず知らずの番号から着信があった。少し警戒しながら智裕は通話ボタンを押して応対する。
「も、もしもし…?」
『こんばんわ、松田くん。赤松直能です。』
「なななな直能様⁉︎」
まさかの人物からの電話で智裕はベッドから転がり落ちた。
挙動不審になる智裕に直能はクスクスと笑っている。
「ど、どうして俺の番号を!てか何で電話を⁉︎」
『直倫から聞いたんだ、勝手なことをして申し訳ない。』
「い、いえいえいえいえいえいえ!こここ光栄でございます!で、直能さんが…いえ、直能様が俺のような凡人になぜ、で、電話を…。」
『少しね、松田くんに頼みたいことがあるんだ。』
直能の真剣な声を察した智裕は一気に恐怖で緊張した。
ドクン ドクン ドクン
『直倫に、聖斎に戻るようにと説得して欲しい。』
「え……。」
智裕はその冷たい声を了承することが出来なかった。
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