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夏休み閑話【入れ替わってる?】⑦
「おい、椋丞。直倫はまだウチに来たことねーからな。しょっちゅう来てるとかそういう態度出すなよ。」
「あらー、やっぱりセックスは高級マンションなのねー、お盛んだこと。」
「直倫の顔でゴリゴリの下ネタやめろ!」
一抹どころか幾多の不安を抱えながら裕也は椋丞と帰宅した。
「ただいまー。オフクロー、今日後輩泊まるからー。」
「あらーそうなの。」
宮西にとっては見慣れた顔だが、直倫はまだ一度も会っていない大竹家。その設定を忠実に守れるだろうか、と裕也の動悸はおさまらない。
「初めまして、赤松直倫といいます。いつも大竹先輩にはお世話になっています。」
裕也は開いた口が塞がらなかった。
先程まで気の抜けた顔をしていたのに、今は本物の直倫よりキラキラに輝く笑顔を母に向けていた。
「あらあら…まぁ……ちょっと裕也!アンタこんなイケメンと仲良かったの⁉︎」
「は、はぁ、まぁな……。」
(ちょっと待て!これ元に戻った⁉︎え、あれ椋丞か⁉︎)
「突然お邪魔して申し訳ありません。」
「いいえー、いいのよぉ。やだ、今日夕飯野菜炒めだわ!ちょ、ちょっとお寿司取らなきゃ!」
「何でだよ!」
「ちょっと、お化粧も直さないと。もーやだぁー!」
大竹母は完全に舞い上がっていた。
「おい、りょ…直倫、部屋行くぞ。」
「はい、裕也さん。それでは失礼します。」
「ごゆっくりー♡」
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