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夏休み閑話【入れ替わってる?】⑨
宮西家の夕食はチキン南蛮に、ポテトサラダ、なめこの味噌汁、梅キュウだった。
「にーちゃん!おかわり!」
「こーちゃん、にーちゃんにたのんでもダメだよー。」
「はい、晃介 。お茶碗一杯でいいかな?」
「えー!」
いつもの椋丞なら「は?自分でやれやクソガキ。」と睨んで終わりなのだが、今日はニコニコと慈愛溢れる、しかも笑顔で応えてくれることに末っ子双子たちは驚いた。
「侑芽 、お口にご飯粒がついてるよ。」
侑芽の顎 についていたご飯粒を椋丞が優しく摘んでくれた。しかもニコリと笑った。
「ヨーコちゃん!にーちゃんどうしたの⁉︎いつもこんなにやさしくないよ!いつもは人をバカにする時しか笑わないよ⁉︎」
「んー…とね……えっと……。」
里崎が困っていると助け舟を出したのは賢い弟の大介だった。
「侑芽、椋丞はね宇宙人に改造されて優しくなったんだよ。」
「うそだぁ!」
「本当だよ。その証拠にほら、これさっき椋丞が書いた字だよ。」
「うっわー!にーちゃん、ユメより字ぃヘタクソなのに!すごい!宇宙人すごい!」
「ね?だから今日は宇宙人に感謝しようね。」
「うん!」
直倫はこっそりと里崎に耳打ちをする。
「あの……宮西先輩の人物像がよく分からないんですけど。」
「まぁ一言でまとめれば、クズ、かな?」
「俺自分の身体がすごく不安なんですけど……。」
「まぁ、大竹がいるから大丈夫でしょ…多分。」
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