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夏休み閑話【入れ替わってる?】(11)(※)

 しかし裕也は目が覚めてしまった。 (あれは椋丞だ…椋丞……直倫じゃない……椋丞…っ!)  どうにかしていつも馬鹿をやっている宮西を思い浮かべるように努めたが、微かに鼻についてくる直倫の匂いが情事を思い出させてくる。  丁寧な言葉で乱暴に攻めてくる、整った色っぽい顔と甘い囁き、裕也を愛でるイヤラシイ指先、熱い欲望を注がれる感覚。 「ふぁ……や…だ……。」  とうとう反応し熱を持ったソレを裕也はそっと握った。椋丞を起こさないようにタオルケットを噛んで息を殺して自慰をする。 「ふぅ……んん……ぅ…。」 (いつもみたいに、早く……早く……。)  いつもならテキトーにエロ動画を見たり想像したりするだけで終わるその行為が、今日は物足りないと感じる。  だからなのか、直倫の匂いを徐々に強く感じていた。 「裕也さん……。」  ベッドが軋む。そして背後に温もりを感知した。  そして裕也のモノと扱いていた裕也の手が丸ごと包み込まれた。 「や…やめろ……りょ、すけ……っ!も、最悪……。」 「宮西先輩じゃないですよ…裕也さん……。」 「え……直倫?」 「すごい勃ってる……俺がイかせてあげます。」  直倫の手が裕也のモノを慰め始めた。そして抱きしめられて直倫の匂いやかかる吐息、愛でるように(うなじ)や耳に落とされるキス。  手の動きは優しく、徐々に速くなり裕也は声を必死に抑えた。 「はぁ、あ……ふ……だめ……なお、み……。」 「いいですよ…イッて……可愛い声、聞かせて?」 「あ、出る…で……くぁ……あぁぁ……っ!」  耳元で囁かれた「裕也さん、愛してる。」の言葉と同時に裕也は絶頂に達した。呼吸を整えながら裕也は直倫の方を振り向く。  暗くても分かる、直倫の穏やかな色を含んだ笑顔。裕也はじっと見つめながら。 「直倫……。」  手を伸ばしてキスをせがんだ。あと数センチの寸止め。

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