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オオタケくん再争奪戦③

「裕也さ……ん?」  2年5組の誰もが心の中で手を水平に上げて安堵した。 「ああああああ赤松!ちょ、ちょっとお前さ、バットの振り方教えてくれねぇ?俺さ次の合同練習でめっちゃ打撃練習あんのよ!」 「いえ、今日は松田先輩と野村先輩からのお話を裕也さんと一緒に聞くって約束してるんですけど。それに国際試合はDH制だから打撃練習要らないですよね?」 「いるいるいる!秋季大会!そうそう!甲子園目指すんだろぉ!おー!」  智裕が高く拳を掲げるが直倫は冷めたような目で見て、智裕の半径3メートルは凍った。 「あれー?君たち野球部って本当仲良しなんだねー。」  ニコニコしながら天使が智裕と直倫に近づいてきた。その笑顔に智裕は恐怖を感じ、直倫は表情が変わらない。 「さすが堀くんの作り上げたチームだね、昼休みも熱心ですごいや。そっちは神奈川県では大活躍した赤松くんだね?」 「存じていただき光栄です、生徒会長。」 「あは、僕のこと知ってたんだー。で、赤松くんは松田くんとお話ししに来てるの?」  加治屋はあざとく唇の下に人差し指をあてて、首をコテンと傾け上目遣いで訊ねる。  もちろん少し距離をおいた場所から高梨と増田はスマホにその肖像を収めた。 「いえ、俺は大竹裕也さんに逢いに来てるんです。」  今、教室内にいる全員の頭の中で試合開始のゴングが鳴り響いた。

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