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オオタケくん再争奪戦⑥

 あまりの衝撃事実にその場にいた全員の時が止まった。  そして裕也は顔を上げて固まっていた。すると加治屋は裕也の目の前にちょこんとしゃがんだ。 「ねー、ゆーくん!」 「………何をおっしゃてるのでございましてでしょう。」  パニックになり過ぎて裕也の語彙力は崩壊した。  そして次の瞬間、裕也の唇に柔らかくあったかい感触がした。  割と近くからスマホの連写音、女子の「きゃー」という黄色い声と男子の「うおー!」という野太い叫び。  「チュッ」というリップ音で裕也は何をされたのか把握した。 「えへへ。ゆーくんのチュー、貰っちゃったぁ。」  裕也は自分の口を塞いで素早く後ずさる。  口を塞いだまま「何すんだよ!」と叫んでただ驚くしか出来なかった。  加治屋は天使のような微笑みを裕也に向けてジリジリと裕也に近づく。

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