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2年5組男子カラオケ大会③
「なんでメインボーカルじゃねーんだよ!」
「それ明らかに男声パートだろ!」
「歌詞を歌え!あー、じゃねーんだよ!」
一起は合唱で習ったとおりに歌ったようだった。なのでハモりパートオンリーの歌唱だった。
そして一起は歌いきると演歌歌手のように一礼をした。
「いやいやいや、拍手とか無理!」
「は?俺これで先生に褒められてたぞ。」
「合唱じゃ褒めるよ?だけどメイン歌ってくれない?」
「習ってないからわからん。」
「このクソ真面目!」
(歌は上手いけど絶望的に教科書通りなんだろうな…江川っち。)
そんな哀れみの視線を送っていた智裕は次にターゲットにされる。
「はいそこ、前日まで野球漬けだからとかカンケーねーから。松田から入れろ!」
「はぁ⁉︎常識的に考えろよ!無理に決まってんじゃん!」
即座に若月に反抗するが、妙に大人しくしてた悪友幼馴染ズの裕也と宮西がコーラを飲みながら、ふとわざとらしく大きめの声で発言する。
「そういやトモがカラオケで歌ってんのあんま見たことねーな。」
「あ、それ俺も思った。」
「いや……だって、俺あんま流行りの曲知らねーし。」
「大丈夫、今合唱練習したやついるから、入れろ。」
宮西にリモコンを渡されて智裕は渋々曲を入れた。
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