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2年5組男子カラオケ大会②

「つーわけで、お前ら1人ずつ十八番(オハコ)の曲を歌ってもらいます!デモンストレーションでまず俺から行くぞー!」  そう言ってスピーカーからは、バンドとは程遠いパリピ御用達のアゲアゲトランスが流れてきた。  先ほどまでこの場にいる(若月を除いた)全員が「若月が歌えばいいのに。」と思っていたが、その考えは一気に覆された。 「なぁ……若月って……。」 「いつも音楽聴いてたりするのにな。」 「絶妙な…下手さ…だな。」  しかし若月はやりきった顔をして歌い終えた。 「よし、じゃあ次は委員長いくかー!」 「いや、俺、マジで歌知らない。」 「いやいや、ちょっとは知ってるだろ。アニソンでも懐メロでもいいから。」 「えー……。」  指名された一起は困惑しながらリモコンを操作して曲を入れた。  流れてきたのは数年前の朝のドラマの主題歌だった。 「お!これ懐かしー!」 「中学の合唱コンで歌ったわー。」 「あれ?でもこれボーカル女じゃなかった?」  弦楽器のイントロが終わりドラムが盛り上がってまずサビが始まった。

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