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旅の準備①
2年生の2学期、高校生活最大の行事が待っていた。
「来月の修学旅行の班分けするぞー。」
10月の初めに3泊4日で兵庫、大阪、奈良、京都の関西満喫旅行。
2年5組のクラス中がテンション上がっている中、約2名は魂が抜けていた。
「うう……嫌な思い出が…。」
「俺どーせ強化合宿で大阪だし…。」
野球部の2人は、甲子園で対戦相手だった大阪の馬橋 学院のナインたちに大阪の洗礼を受けたトラウマがある。
そして修学旅行を中抜けし、日本代表の強化合宿で半月ほど馬橋の野球部宿舎で軟禁されることが決まった智裕は特に大阪など目新しくもなかった。
そんな2人を見た裕紀は、わざと大声でアナウンスする。
「あーそうそう。救護係として養護の石蕗先生も同行してくれることになってるぞ。」
「はいはい!今すぐ班決めよーぜ!俺保健係やーるー!」
智裕は復活が早かった。
「松田、石蕗先生の部屋は急病人の部屋になるんだから入れるわけねーだろ。」
「松田は江川の正論バズーカで瀕死。」
「ひゃーはっはっはっ!トモざまぁねぇな!」
智裕は塞ぎこむのも早かった。
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