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マツダくんとユイさんの距離(13)

 午後9時、裕也はいつものように部屋でダラダラしていると家のインターホンが鳴った。  すぐに玄関から母の大声が裕也に届く。 「裕也ー!智裕くん来たわよー!」 「は?」  裕也は突然の訪問に面を食らっていると、これまた変な顔をした智裕が裕也の部屋のドアを無遠慮に開けて入ってきた。 「な、何?どした?」 「あーうん、いや…えっと……。」 「てゆーか練習終わってそのままかよ!くっさ!」 「制汗剤かけてるっつの!」  智裕は裕也の部屋の定位置であるローテーブルのところに腰を下ろして「あーーーーー」と唸りながらテーブルに突っ伏した。 「何?どした?馬橋の先輩らとバチバチにやりあってんじゃねーの?」  裕也もベッドに腰掛けて智裕を見下ろした。 「それもそうだけど……やばいことになった……。」 「何が?つーか家帰れよ。」 「無理。拓海さんと同じ建物に入れない。」 「………は?」  まさか過ぎる言葉に裕也も目が点になった。  智裕はやっと顔をあげると、片手で口を塞いだ。そして伏した目と紅潮する頬、裕也は何となく察して血の気が引き始めた。 「おいおいおいおい……冗談だろ…?」 「どうしよう………由比コーチに……キス、された……。」 「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉︎」

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