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旅の前の日②
森監督の背中が見えなくと、弥栄は早速智裕と香山に飛びついた。
同じく戸惑う顔をしている1年生・三輪 瑛一 は恭介に駆け寄った。
「キャプテン!俺がブルペンリーダーって…何でですか?」
「お前が第2捕手だから当たり前だろ。」
「でも俺…香山先輩やキャプテンみたいにリーダーシップとか取れないです…。」
「仕方ねーだろ、1年は弥栄 がエースなんだから、お前にも一緒にやってもらわねーとブルペンが崩壊する。」
ポンコツと指された弥栄は案の定、香山に抱きついて足蹴りを食らっていた。
「な?お前が支えてやってくれ。ダメそうだったら今中先輩に来てもらえばいいから。あの人暇そうだし。」
「はい……。」
2人の哀れみの視線に気がついた香山と弥栄と智裕はバツがわるそうに恭介から目をそらしてそそくさと部室に戻った。
(優勝出来んのか?俺ら。)
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