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憧れのユイさん③
「今中先輩!ゆいすけだなんて失礼ですよ!」
どこからスイッチが入ったのか、智裕は立ち上がって今中に詰め寄った。
そんな2人の騒ぎにいい加減他の部員も気がついて皆何かと思いながら近づいてきた。
「いいんだよ、現役の時から呼ばれてる愛称なんだから。」
「駄目です!いいですか今中先輩!由比壮亮投手は確かに顔も超絶カッコイイですけど、何よりもあの美しいスリーウォーターから繰り出される鋭い速球とスプリット、そのコントロールの正確さはまるで針の穴に糸が通るようにミットに吸い込まれるんです!そのマウンドでの出で立ちは神様ですよ!それをゆいすけだなんて呼び捨てにして!」
由比は少しだけ気が引けていたが、智裕の熱量には嬉しさが込み上げていた。
「わかったわかったから!離せ!近い!うざい!」
今中に抵抗されて智裕は今中を解放した。その瞬間、由比は野球部に囲まれてしまっていた。
「由比投手だ!」
「ゆいすけだ!え、マジで?」
「ちょ、すいません!握手してください!」
智裕たちの練習場所は一気に握手会の会場と化した。
由比は一人一人に快く爽やかに対応する。
智裕はそんな由比をキラキラした目で見惚れる。
一通り握手が終わったところで、由比はずっと自分を見つめているだけだった智裕の目の前に立った。
「松田くん……あ、智裕くんって呼んでもいいかな?」
「は、はい!なななな何とでもお呼びください!」
「じゃあ智裕くん、今日は僕が練習に付こう。」
由比の申し出に野球部プラス今中は驚きの声を上げた。そして智裕は再び真っ白になった。
1分後、智裕の絶叫がグラウンド中に響いた。
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