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憧れのユイさん⑦
今中は思わず避けてしまった。
その投球を見て由比は嬉しそうに笑った。
「うん、いいね。」
一方で今中は冷や汗をかいてキャッチャーマスクを外して智裕に叫んだ。
「松田ぁ⁉︎今の落ち過ぎだろ!てゆーか落ち方がほぼ直角じゃん!」
「え……と…。」
「球持ちもだいぶ違うぞ!リリースポイントが隠れてるけど近くになったろ⁉︎」
「え、わかります?」
「ふふふ…たった1時間で見違えたね。智裕くん、次はど真ん中にストレートを投げてみようか。マネージャーさん、ガンで計測してみてくれる?」
「は、はい。」
撮影で智裕たちについてた増田は野村に渡されていたスピードガンを構えた。
増田は息を呑んで智裕を見る。
パアァァァァンッ
今中のミットから聞いたことのないような快音が鳴る。
スピードガンの計測結果が出た。その数字を見て増田は震えた。
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