860 / 1000

憧れのユイさん⑦

 今中は思わず避けてしまった。  その投球を見て由比は嬉しそうに笑った。 「うん、いいね。」  一方で今中は冷や汗をかいてキャッチャーマスクを外して智裕に叫んだ。 「松田ぁ⁉︎今の落ち過ぎだろ!てゆーか落ち方がほぼ直角じゃん!」 「え……と…。」 「球持ちもだいぶ違うぞ!リリースポイントが隠れてるけど近くになったろ⁉︎」 「え、わかります?」 「ふふふ…たった1時間で見違えたね。智裕くん、次はど真ん中にストレートを投げてみようか。マネージャーさん、ガンで計測してみてくれる?」 「は、はい。」  撮影で智裕たちについてた増田は野村に渡されていたスピードガンを構えた。  増田は息を呑んで智裕を見る。    パアァァァァンッ  今中のミットから聞いたことのないような快音が鳴る。  スピードガンの計測結果が出た。その数字を見て増田は震えた。

ともだちにシェアしよう!